花粉症がひどくなる季節になると、「花粉症のない国へ非難したい」と誰もが思うはず。
そんな時、ネットや旅行代理店のパンフレットなどで目に入るのが「スギ花粉症の季節は、スギのない沖縄で過ごそう!」というフレーズです。なんて魅力的なワード・・・!
私自身も花粉症デビューをしてもうすぐ〇十年になりますが、本当にこの時期はつらくてたまりません。
今は薬局などでも抗アレルギー薬を買えるようになり、昔に比べたら随分と過ごしやすくはなりましたが・・・それでも症状はゼロにはなりませんし、かといって強い薬を飲むと頭がぼーっとしたり。
沖縄へ行ってこの毎年の苦痛から解放されるなら、移住したい!!
そんなことを夢見る人も、意外と多いようなんです。
でも、沖縄へ行ったら花粉症から本当に解放されるんでしょうか?
ほんとに?
ほんとに・・・?(疑いのまなざし)
調べてみると、実は一概にそうとは言えない事実があったんです・・・!
花粉症は沖縄や石垣島だと治る!?
沖縄に移住したら花粉症が劇的によくなった、春先に沖縄旅行へ行ったら花粉症が全く出なくなった。そういったウワサってよく聞きませんか?
これは日本の花粉症患者の大多数が、スギ花粉によってアレルギーを起こしていることに由来します。
例えば東京都の森林面積のうち、スギとヒノキが占める割合はなんと約40%!そりゃ花粉も大量に飛ぶよね・・・と納得です。
それに対して、沖縄県でスギとヒノキが占める割合はたったの0.3%。
1%にも満たないわけで、沖縄にはスギ花粉(ヒノキ花粉も)がほぼないとも言えます。そのため、「沖縄に行ったら花粉症がなくなった」という体験談をよく聞くことがあるんですね。
スギ花粉を避けられるという意味で、沖縄県や石垣島が「避粉地(ひふんち)」なんていう呼ばれ方もしているようです。
スギ花粉に強くアレルギー症状を起こしている人なら、スギ花粉が大量に飛散する時期に沖縄へ避粉すると、絶大な効果を感じることが出来るはずですよ~。
ちなみに、日本各地のスギ花粉の飛散時期はこんな感じになっています。
日本各地のスギ花粉飛散のピーク時期(予測)
- 福岡 2月下旬から3月上旬
- 広島・大阪 3月上旬
- 高松・名古屋 3月上旬から中旬
- 東京 3月上旬から4月上旬
- 金沢と仙台 3月中旬から下旬
春先に沖縄や石垣島への旅行を考えているなら、スギ花粉のピークを狙って計画するのもよさそうですね!
物理的に花粉を避けられるということからその効果は絶大で、スギ花粉の時期だけは沖縄や石垣島に短期移住する、といった人も年々増加している傾向があるそうです。
今はネット回線さえあれば在宅勤務を許可している職種もありますし、ライフスタイルの変化を感じますね。
沖縄には花粉症がないってホント?
じゃあ、沖縄には花粉症がないんでしょうか?これに関しては、答えはNO!です。
というのも、沖縄で少ないのはスギやヒノキ花粉。
もちろん、花粉を飛ばす植物は他にもたくさんありますし、その花粉にアレルギーを起こすことも十分考えられます。
これには沖縄県の医師会も注目していて、沖縄県医師会の医師会報でもこんな記述がありました。
我が国では春に発症するスギ花粉症が花粉症の代名詞になっていますが、これは日本特有のもので、ヨーロッパでは枯草熱と 称されるイネ科花粉症が、北米ではブタクサ花粉症が広く知られています。沖縄県にはスギは自生せず、ブタクサ花粉症もほとんどないとされていますが、特有の花粉症としては著者らが報告したモクマオウ科花粉症があります。
沖縄県におけるアレルギー性鼻炎の地域特異性
スギやブタクサの花粉症はほとんどないとのことですが、ここで聞きなれない「モクマオウ科」という花粉症が出てきました。
やはり、沖縄県にも花粉症はあるようです。
ここからは、沖縄でも起こる花粉症とそのピーク時期について、詳しくお話していきたいと思います。
言い換えると、この時期に沖縄に行って花粉症のような症状が出たのなら、スギやヒノキ以外の花粉症を起こしている可能性が高いということになります!
沖縄の花粉症時期はいつ頃?
まず、沖縄で花粉飛散数が最も多いのはリュウキュウマツという植物です。このリュウキュウマツの花粉飛散のピーク時期は2~3月。
沖縄で2番目に多いのが、イネ科の花粉です。
こちらは全国的にも広く分布しており、 主に5~8月に花粉飛散時期を迎えるため、夏の花粉症としても有名です。
ただ、沖縄でのイネ花粉の飛散時期は本土とは少し異なっているのでご注意を。
沖縄でのイネ花粉の飛散は、10~11月に多く確認されているようです。イネ科のサトウキビや、ススキやチガヤなどの雑草の花粉が主であるとされています。
そして3番目にたくさん飛ぶのが、モクマオウ科の花粉。
こちらは4~6月にピークを迎えます。
花粉が多く飛ぶ=花粉症になる、ではない?
沖縄県内の空中花粉飛散量だけを見ると、たくさん飛んでいるのはリュウキュウマツの花粉となります。ですが、実はマツ科花粉はアレルギーを起こしにくく(抗原性が低いとされる)、リュウキュウマツの花粉によって花粉症を引き起こすケースはそう多くないのだそうです。
沖縄の花粉症はモクマオウ科が原因?
ここで注目されたのが、3番目に花粉飛散量が多いモクマオウ科です。モクマオウ科はオーストラリア産の常緑高木で、熱帯夜亜熱帯地域に多く分布しています。
日本ではあまり聞きなれませんが、アメリカやオーストラリア、スペインなどでは花粉症の起因植物としてよく知られているんですよ。
もちろん紹介した3種類以外にも、色々な花粉が沖縄でも確認されています。
モクマオウ科、ブナ科、ツツジ科、ソテツ科、ヤマモモ科
マツ科、クワ科、マメ科、カバノキ科
イネ科、キク科、オオバコ科、ガマ科、アカザ科、イラクサ科
聞きなれない花粉の種類もあると思いますが、雑草に多いイネ科、キク科に花粉症を起こしている人も実は多いんです。
スギ花粉の時期以外でも花粉症のような症状が続くのであれば、他の花粉にもアレルギーを起こしているのかも。
また、カバノキ科の花粉にアレルギーを持っている場合は、果物を食べたときに口の中がかゆくなるなどの違和感を感じることがあります。(口腔アレルギー症状といいます)
※アレルギーを起こしやすい果物はリンゴ、桃、さくらんぼ、柿、キウイなど。
スギ・ヒノキ花粉症の人は避粉地も効果あり
では、今回のまとめです!- 沖縄にはスギ・ヒノキの分布がかなり少ない
- そのため、スギ・ヒノキ花粉による花粉症はかなり抑えられる可能性が
- モクマオウ科をはじめとした花粉症は沖縄でも報告されている
- 秋の沖縄はイネ花粉に注意
花粉症が強く出るタイプの人は、沖縄旅行の際にも花粉症対策はしっかりしておくのがおすすめです。
持って行く衣服などに花粉が付着している可能性もありますし、自然が多い環境なのでまた違う植物にアレルギーを起こすことも考えられます。
今は全国の病院でアレルギー検査が受けられるので、心配な場合はこちらも事前に受けておくのもいいかもしれませんね!