「梅雨前線ってなに~?」
「どんな意味なの?教えて~!」

梅雨の季節が近づいてきたある日、天気予報を見ていた小学生の姪っ子に、こんな質問をされました。

この時期になると、ニュースや天気予報でも「梅雨前線」という言葉をよく聞くようになりますよね~。ところが、いざ子供に説明を求められると「えっと、えっとね…」とモゴモゴしてしまったのが私です。情けない!・゚・(ノД`;)・゚・

この「梅雨前線(ばいうぜんせん)」というキーワード、子供はもちろん、大人でも「どんな意味なの?」と聞かれると、実はそこまで詳しくないことに気が付きます。
こんなにも、毎年お付き合いしているというのに…ですよね。


ということで、今回は大人も意外と知らない梅雨前線のしくみについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

いざ調べてみると、気象関連のことってややこしい表現が多いんですね~ヾ(;´▽`A“
ですが、できるだけカタい言葉を使わずにまとめました。その方が他の人やお子さんにも簡単ですし、伝えやすいですからね♪

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梅雨前線とは?○○前線ってどういう意味?

「梅雨前線」という言葉のなかで、あまり聞きなれないなあ…、と感じるのは「前線」の部分じゃないでしょうか。

前線とは、性質のちがう空気が隣り合ったときにできる、空気の境目のことなんです。
地球上の空気は、その地方によって色々な性格を持っています。暖かい空気と冷たい空気のように、それぞれ性格の違う空気の境目のことを、前線と呼んでいるんですよ。

この「前線」という言葉は、低気圧や高気圧と同じく、天気予報などでよく使われる言葉なので、覚えておくと便利です( ´∀`)b


前線は4つの性格に分かれていて、そのうちのひとつに停滞前線(ていたいぜんせん)があります。
停滞前線と同じ仲間なのが、今回お話していく梅雨前線なんです。

前線で雨が降る理由

暖かい空気と冷たい空気の境目が「前線」と呼ばれるわけですが、そこに雨が降るのはどうしてなんでしょうか。

これは、前線の暖かい空気が上昇気流を起こして、雲が発生するからなんです。


なぜ上昇気流が起こるの?

「暖かい空気は上昇する性質がある」と、理科の授業で習いますよね。

これはモノの密度が関係していて、空気は温度が高くなると膨張して、体積が大きくなります。体積が増えると密度が小さくなり、もとの空気よりも軽くなるんです。
そのため、軽くなった空気が上空に向かって吹き上がることから、上昇気流が発生します。

その分かりやすい例が、気球です!
熱気球が飛ぶのも、この空気の膨張を利用しているからなんですよ。

反対に、空気の温度が低くなると体積は小さくなり、そのぶん密度が大きくなって重くなります。この場合、下降気流が起こります。


こんな理由から、暖かい空気と冷たい空気がぶつかる前線では、上昇気流が起こるのですね。

上昇した暖かい空気は、徐々に温度が下がって冷たくなり、空気中に閉じこめておける水蒸気の量が少なくなります。余ってしまった水蒸気が、水の粒になって雲となり、雨を降らせるようになるんです。

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梅雨前線のしくみを簡単に解説!

前線とは性格の違う空気の境目で、
そこで雨が降るのは上昇気流が起こるから。


ここまでの解説については、なんとなく分かってもらえましたか?
それでは、ここからは「梅雨前線」そのものについて、更に詳しくお話していきます!

梅雨前線はなぜ発生するの?

梅雨前線は、春の空気と夏の空気が入れ替わるシーズンに発生します。

梅雨前線にも、暖かい空気と冷たい空気が関係しているのですが、ここではもう少し専門的な解説をしていきますね。

気温や湿度など、同じ性格の空気のかたまりを、専門用語では「気団(きだん)」と呼びます。
日本の周りには主に4つの気団がありますが、梅雨前線をもたらすのは、この2つの気団です。

梅雨前線と関係する気団

  • オホーツク海気団
  • 冷たい、多湿
    オホーツク海高気圧に影響される
  • 小笠原気団
  • 暖かい、多湿
    太平洋高気圧に影響される

気団の位置関係については、この天気図でチェックしていきましょう。

日本列島の北側にオホーツク海気団が、南側に小笠原気団がそれぞれ発達しています。

小笠原気団が北に進んで、オホーツク海気団を前線ごとぐぐ~っと北へ押し上げることで、季節が春から夏へと移り変わります。

ですが、この2つの気団のパワーは同じくらいなので、お互いに押し合ったままなかなか移動してくれません。さきほど、梅雨前線とは停滞前線の仲間だとお話しましたが、まさに停滞前線の特徴がコレなんです。


気団がどちらにも動けないことから、境目に発生する前線が、同じところにウロウロと停滞し続けます。
このため同じ地域で、長雨やぐずついた天気が続き、それが梅雨と呼ばれます。そして、その原因を作っている前線を「梅雨前線」と呼んでいるんですね。

梅雨明けと梅雨前線の関係


オホーツク海気団と小笠原気団が「押せ押せ!」「こっちも負けないぞ!」と、おしくらまんじゅうを続けているうちは、梅雨時期が続きます。けれども、梅雨にも必ず終わりが訪れますよね。そう、梅雨明けです!

梅雨時期のあいだに、オホーツク海気団は徐々に弱まってパワーダウンしてきます。
すると、夏に向けて力を蓄えていた小笠原気団が、オホーツク海気団を押し切り!そのまま北上して、梅雨前線を北へ押し上げるんです。

このまま、日本列島で停滞していた前線が消滅することで「梅雨明け」となります。

梅雨明けには二種類ある?

梅雨明けというのは、日本列島上で停滞していた梅雨前線がいなくなった時のことです。

実は「梅雨前線が消滅する」パターンは、二種類あるんです。
一つめは、先ほどもお話したような、オホーツク海気団を小笠原気団が押し上げて、前線が日本列島からいなくなる場合

もう一つは、北と南の高気圧が意気投合して「もう一緒になろうよヾ(〃^∇^)ノ」と、仲良くなった場合です。このパターンだと、北と南の気圧差がなくなるため、前線の構造が崩れて消滅してしまうんですね。

どちらも梅雨前線の影響がなくなったと判断されるので、これが「梅雨明け」発表のめやすになります。

北海道には梅雨がない?蝦夷梅雨とは


梅雨前線は、北海道にまで北上することがなく、北海道まで前線がたどり着いたとしても、そこで停滞することはほとんどありません。
そのため、北海道には梅雨がない!と言われてきました。

ですが、北海道に住む友人が言うには、北海道にも梅雨はあるのだそうですヾ(;´▽`A“

これは「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」と呼ばれ、 東北地方に梅雨前線が停滞する頃に、前線の北側が、北海道の南西部にかかることで起こります。

とは言っても、本州のような長雨続きの梅雨ではなく、どちらかというとアッサリ。
雨が二日以上続くことは少なく、湿度や気温も本州の梅雨に比べるとずっと低いため、そこまで不快度指数は高くないようですね。

これで梅雨前線のしくみは完ペキ!

では、最後にまとめます!

梅雨前線は、春と夏の空気の入れ替わりによって発生する
  ↓ ↓ ↓
オホーツク海気団と小笠原気団が、日本列島上で押し合って梅雨前線ができる
  ↓ ↓ ↓
双方とも同じくらいの力なので戦いが長引き、雨を降らせる前線が停滞するため梅雨が起こる
  ↓ ↓ ↓
夏に向けて強くなった小笠原気団が勝利!
  ↓ ↓ ↓
梅雨前線を日本列島の外へ押し出し、梅雨明けとなる

少し省略しましたが、梅雨前線のポイントはこんなところです。

普段はなんとな~く見てしまっていた天気予報や天気図も、前線や気団のしくみを少し知っていると、それまでよりも内容が頭に入ってきやすくなるんですよね。

冒頭でお話した姪っ子の質問にも、今ならズバリと答えられそうです(*´∀`)
梅雨は毎年やってくるものですし、予習しておくとちょっとした会話のネタにもなりますよ~♪