2016年高校生向け課題図書に選ばれている「シンドラーに救われた少年」。

タイトルの「シンドラー」という名前に、
あの映画を知っている人は「おっ?」と思ったのでないでしょうか。

今回は「シンドラーに救われた少年」のあらすじ、
その感想のポイントについて、まとめました。

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あらすじ

「シンドラーのリスト」に載ったことにより、
ホロコースト(ナチスによるユダヤ人大量虐殺)を、
無事に生き延びることができた、当時10才の少年の証言。

シンドラーに救われたユダヤ人の中で、
最も若かったレオン・レイソンの言葉で、物語は始まる。


平穏な日々は、彼が10才の時に激変した。

ナチのポーランド侵攻によって街は一変し、
街中には、ユダヤ人を侮辱するポスターが貼られ、
レオンは学校にも行けなくなり、遂にはユダヤ人居住区へ。


ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーが経営する工場に、
(シンドラーについては後述します)
父親が勤めていたことから、最低限の暮らしは保証されていたレオン。

とはいえ、決して安全とは言えない環境だった。


シンドラーが工場でかくまう形となったレオン達を、
ドイツ兵のユダヤ人一斉検挙の手が迫る。

怒鳴り声、叫び声、銃声が響く中、
隠れるユダヤ人を見つけ出す役目のジャーマンシェパードが吠え立て、
見つかった人々は、慈悲を求めて叫び始める。

ドイツ兵士はその声を無視し、無差別に殺し続けた。
レオンは両耳を塞いで、人々が懇願する声から逃れようする。

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そして、まさに地獄といえるような収容所に、レオン達は送られる。

「不毛で、悲惨で、混沌とした場所」だったと、
プワシュフ収容所について、レオンは後に語っている。


労働中に負った傷の手当に診療所へ寄り、
手当てを終えて、レオンが診療所を出た直後に、悲劇が起こる。

収容所の所長であるSSのアーモン・ゲート大尉がやってきて、
なんの理由もなく、その場にいた全員を射殺した。

殺されたユダヤ人達には何の落ち度もなく、
ただの所長の気まぐれ、としか思えない行為だった。

その光景に震え上がるレオンを他所に、
遠くからその様子を見ていた、ナチスの監督官が、
所長たちが殺したユダヤ人の数を、楽しげにささやき合っていた。
まるで、サッカーの試合の点数のように。

誰かが「今日の合計は?」と聞く。
すると「ユダヤ人が12、ナチスはゼロだ」と答えた。


この惨状を知ったシンドラーは、
その知恵と財産を駆使して、ユダヤ人達を救おうとする。

収容所所長にわいろを掴ませ、
ユダヤ人達を収容所ではなく、
自分の工場で働かせたほうが効果が上がる、と
言葉巧みに説得をした。

当時権力を握っていたナチスの高官や、
地物警察などにも、自分の主張が拒絶できないほどの高額なわいろをばらまき、
時にはパーティを開いて、彼らに取り入って行った。


ナチスにとっての自分は「ユダヤ人の一人」でしかない。
そう感じていたレオンは、
自分の名前を覚え、話し掛けて気遣ってくれるシンドラーの存在に、
ナチスに壊されかけていた、
自己のアイデンティティを、取り戻し始める。

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この本をより理解するためには、
映画「シンドラーのリスト」を見ておくのがおすすめ。

監督は、あの有名なスティーブン・スピルバーグです!


映画「シンドラーのリスト」のあらすじ、概要

第二次大戦下のドイツ。実業家シンドラーは軍用ホーロー器工場の経営に乗り出し、ゲットーのユダヤ人たちを働かせた。やがて彼は、ユダヤ人たちを強制収容所送りから救うのだった。

実在の人物オスカー・シンドラーを中心に、
ナチによりホロコーストを描いた作品。

第二次世界大戦中に、
ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーが、
自身の経営する工場の、ユダヤ人従業員1000人を救う物語。

ナチの狂気から、ユダヤ人を救おうとした姿に、
感動を感銘を受けることは、まちがいなし。

木箱の上に乗って働いていた少年が、
この「シンドラーに救われた少年」で描かれる、レオン・レイソンなのです。


感想のポイント

この「シンドラーに救われた少年」の感想を述べる最大のポイントは、
主人公であるレオンの意志の力

何もかもを奪われ、
絶望に放り込まれた幼い少年が、
どうやって、生きる意志を取り戻したのか。

その過程には、必ずあなたが共感できる部分があるはずです。

これ以上、悪いことが起こりませんように…!「シンドラーのリスト」に載った最年少のユダヤ人による証言録。ユダヤ人大虐殺の過酷な体験を生き延びた少年と家族。「最悪の状況で最善のことをした」ごく普通の人間=シンドラーの本当の勇気とは、何だったか?


そして、テレビや当時の映像では分からなかった、
ユダヤ人達に起こった出来事のリアリティには、差し迫るものがあります。

現場を体験したレオンが語る言葉というのは、
どんな映像作品よりも、私たちに訴える力が強いですから。


この本を読み進める中で、
「こんな現実があったのか」「酷すぎる」
衝撃を受ける場面は、たくさんあります。

どのシーンで、あなたがどう感じたのか。
れを感想として言葉に表すのも、大きなポイントです。

戦争を知らない私たちが、
当時10才だった少年の証言を聞き、何を思うのか。

こんな惨い戦争を起こさないために、
私たちが出来ることは?


これを突き詰めていくのも大切ですね。